相続・遺産分割にあたっては,主に相続税の申告を行う税理士が作成した遺産分割案を基に遺産分割協議を行うことが多いと思います。相続財産・遺産が全て現金の場合,問題が起こることはあまりありませんが,不動産には多様性があり,複雑な権利関係が絡む場合もあるので遺産分割の際注意が必要です。
このようなケースは特に注意が必要です。
1.相続財産・遺産のうち,不動産の割合が多い場合
土地は相続税評価額(路線価方式),建物は固定資産評価額で分割案が作成される場合が多いですが,不動産には個別性があり,単なる数字合わせではない公平・妥当な相続・遺産分割案であるか不動産鑑定士にご相談することをおすすめします。
2.相続財産・遺産の中に,特殊な不動産がある場合
がけ地や嫌忌物件など特殊な不動産を相続される場合,実際の時価が遺産分割案に記載された評価額を下回る場合あり注意が必要です。
3.土地・建物の所有者が別,又は遺産分割の結果,土地と建物の所有者が分かれる場合
通常、相続・遺産分割では相続税評価額(路線価方式)による土地の価格を採用することが多いですが,この価格は更地価格(時価)になります。
土地・建物の所有者が別,又は遺産分割の結果,建物の所有者が分かれてしまうとその土地は使用収益が制限された土地となってしまい,その土地を相続した相続人が自由に処分・使用・賃貸することができません。従って,その土地は更地価格(時価)を下まわることになります。
建物が他の所有者である土地<更地価格
4.相続財産・遺産に土地に古家が建っている不動産がある場合
特に取り壊し前提の古家であっても固定資産評価額にて相続財産に加えられている場合があります。このような古家の価値はゼロであり,その他,取り壊し費用分を考慮する必要があると考えられます。
古家が建っている土地<更地価格
→「相続・遺産分割業務の事例」