Archive for the ‘遺産分割’ Category
騙されてサインした遺産分割協議書
故人の相続財産は、通常、法定相続人の話し合い(遺産分割協議)で相続分を決め相続されることになりますが、先日、兄弟に騙されてサインした遺産分割協議書の取り消しについての記事を見ました。
その方は親の介護に伴う寄与分を主張していたそうですが、話し合いはつかなかったそうです。その後、他の相続人から税務申告の期限(配偶者控除の適用でしょうか?)が近いことを理由にとりあえずサインするよう求めれら、応じたそうです。結局、その遺産分割協議書は有効となってしまい取り消したいとの内容でした。
遺産分割協議書は署名・押印してしまうと後から取り消すことはできません。しかし、過去の裁判で裁判所は、遺産分割協議書が作成された場合であっても騙されて署名・押印した場合などで遺産分割協議が継続していたと判断される場合、遺産分割協議は成立していないと認定しました。
このようなケース、故人の配偶者が高齢で認知の場合などには起こりうるケースだと思います。相続人の一人が悪意で高齢相続人に成り代わって意思表示を行った場合など、他の相続人が騙されることはあり得ます。
「兄弟は他人の始まり」、とは言いますが兄弟を騙してまで手にしたお金、果たして意味があるのでしょうか?不思議に思います。
愛知県・名古屋市の相続税節税・遺産分割に伴う鑑定評価なら「松岡不動産鑑定士事務所」
相続の財産目録と不動産評価
遺産相続の際、まず、被相続人の相続財産を把握するため財産目録を作成することになりますが、現金・預貯金を除いては税法で定めらた方法にて評価することになります。
骨とう品など評価が難しいものについては、課税庁を納得せる評価方法にて評価すると聞いたことがあります。以前、相続財産のクラッシックカーをオークションサイトで同種の車を探し、その落札金額から評価したそうです。
不動産の場合、特に土地は1物4価といわれるくらい実勢価格と公的価格との乖離があることから注意が必要です。通常は、相続税申告の際使用した路線価評価(財産評価基準)の価格をそのまま使用することが殆どだと思います。但し、路線価評価での遺産分割が公平ではないと判断される場合は、実勢価格(時価)で遺産分割を行うべきだと考えます。
ちなみに不動産鑑定士が算定する不動産鑑定評価額は、実勢価格(時価)であり、遺産分割には最も適合する価格となります。但し、鑑定報酬が別途かかることになるので、不動産鑑定士による簡易な査定書を利用するなどの方法を検討するのも一考かと思います。
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不動産と金融資産の遺産分割
通常、遺産分割協議や遺言によって、被相続人の財産は相続人に分割されることになりますが、複数の不動産と現金・有価証券を分けて相続する場合は注意が必要です。
例えば、財産評価基準による相続税評価額が同じ相続不動産が3つあり、相続人がそれぞれ不動産を相続した場合、立地条件や将来性などで、それぞれの不動産の価値が必ずしも同じなるとは限りません。理由は、土地の相続税を計算する基準となる相続税路線価が通常、5000円刻みの価格であり、詳細な地域性を反映することが難しいことも理由だと考えられます。
また、不動産はA相続人、金融資産はB相続人とすると、財産評価基準で評価された土地は実勢価格の8掛けで評価されるため、場合によっては不動産を相続したAさんが著しく有利となることがあります。
最も、不動産を所有すると、固定資産税などの公租公課の負担や維持管理に手間とお金がかかるので、どちらが有利かは一概に言えないとは思います。
ですが、このようなことを念頭に遺産分割を進める必要はあると思います。
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遺産分割協議と遺言書
被相続人の財産は、遺産分割協議を行った後、通常は法定相続分に従って各相続人が相続することになります。被相続人の財産が現金・有価証券のみの場合や、不動産を換価分割する場合は問題ありませんが、相続財産のうち不動産割合が多い場合は争いになることが多いです。
不動産を土地は財産評価基準、建物は固定資産税評価額で評価してしまうと、取り壊し前提の価値のない建物に価値が付いてしまったり、古家付きの土地が建付地(建付減価が発生している)ではなく、更地の価格で評価されてしまうことがあるので注意が必要です。
先日、遺産分割協議後に遺言書が出てきたケースの記事を見ました。コメンテイターは、遺言書ではなく遺産分割協議の内容を優先させることが多い、との回答でした。本当でしょうか?
遺言で不利益を被る相続人を救済する制度として遺留分がありますから、遺言書を優先させても問題はないと思いますが。少し首をかしげたくなる回答でした。
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遺留分と鑑定評価額
相続に関しては、相続人の利害関係が絡むため民法や税法、財産評価基準など細かく規定されています。従って、通常の相続の場合、大きな混乱は起こらないと考えられます。
但し、被相続人の財産が多い場合や財産に占める不動産割合が多い場合、相続人関係が複雑である場合などには争いがおこることがあります。
遺留分の場合、不動産の価格は財産評価基準による不動産評価額ではなく、実際の売買価格(実勢価格、時価)を基準に評価する、と定められており争いが起こるケースが多いです。財産評価基準による不動産評価額は実勢価格の8割で評価されており、遺留分を主張する相続人が不利であると主張されるようです。
このような場合、裁判になることが多いのですが、双方が不動産鑑定士による鑑定評価書を持ち寄り、裁判官の判決を青くことになります。遺留分の主張、そもそも被相続人の遺言により法定相続分をもらえない人に主張なので、激しい争いになることが多いです。